青い湖 |
午後1時前、サラフラッサヒュド村に着いた。村には二階建ての建物や学校もあって、ちょうど学校帰りの生徒がたくさん歩いていた。モンゴルの町や村の学校はお昼までだったり、または昼休みが長く、ほとんどの生徒は家に帰ってしまうらしい。 女子生徒は、黒いワンピースにレースのエプロンドレスという制服で、中にはピンクの大きなリボンを髪につけている子もいる。とてもかわいらしい。 子供たちにガソリンスタンドの場所を聞いて、ガソリンの補給をした。この村のすぐ北にある湖でランチをするということで、そこに向かった。 湖といっても池のような水たまりだったが、水がとても青く、湖岸が白く、そのまわりの草原は黄緑色で、そのコントラストがとてもきれいな場所だった。私たちが車から下りると、湖で遊んでいた鳥がいっせいに飛び立った。 湖のまわりでは牛が草を食み、とんぼや蝶も飛んでいる。青い湖面はとても魅力的な色をしているが、水かきれいなわけではなく、空の色を写している。湖岸の白い色は塩の結晶で、なめると表現できない複雑な味がした。 トゥメンバイヤーが、 「それはラクダの尿が固まったものだ。」 と言ったので、みんなあわてて吐き出した。 昼食は、ソガラ氏の家族からもらったハビラガ(リブ)を煮た骨付き肉だった。私たちは草原に腰をおろして、ナイフを使って肉をそぎながら食べた。 私たちのその姿は、すでにモンゴルの人たちとまったく区別がつかない状態になっていた。 昨日寄ったゲルの主人がバイクで来た。彼はソガラ氏を迎えにこの村まで来てくれた。私たちはモンゴル相撲のアブラガと握手をした。モンゴルではアブラガはもっとも尊敬されていて、リタイヤしているとはいえ、アブラガと握手できたことはとても光栄だった。彼の手は分厚く頑丈だった。 湖の向こうの草原で竜巻が起こったが、すぐに消えた。彼の乗ってきたバイクにガソリンを補給し、ソガラ氏と彼が乗って、私たちを先導して出発した。 少し行った峠の分かれ道で、ソガラ氏は私たちのこれからの道を説明して、別れをつげ、東に去っていった。 「バイルタェ(さようなら)、ソガラ。バイルラー(ありがとう)、ソガラ」 |