ゴビへ |
午後7時過ぎに、ソガラ氏の先導で、私たちはツォクト・オボーを出発した。ソガラ氏の奥さんは緑のジープに乗って同行した。 西に沈む太陽に向かって、バイクに乗ったソガラ氏が砂煙をあげて行く。西から子供を5人載せたバイクが来た。ソガラ氏の義弟が運転していたが、前に2人、後ろに3人ぶら下がるように乗っていた。よくこんなでこぼこの道で、子供が落ちなかったものだと、感心と言うかあきれてしまった。ゴビではこれが普通らしく、馬に乗りなれた子供たちにとって、バイクの曲乗りはそれほど難しくないのかもしれない。 デュランが走った。デュランはガゼル、カモシカの一種で、ゴビではよく見かける野生動物である。2〜6頭の群で車と競争をし、彼らはいつも余裕をみせてホッピングやジャンプをしてみせて、車をなんなく追い越し走り去ってしまう。 北側にズーンバイアンとバルンバヤンの山並みがシルエットとなって見える。南側の低地を通って、西に向かっている。砂漠のようなゴビに入った。低木があり、走りにくい。午後8時に日没し、だんだんと闇が増してきて、空気も冷えはじめた。砂の深いわだちと低木で、車は上下左右に大きく揺れる。低木に乗り上げたショックで、ルームミラーがぶっ飛んだ。 私たちのジープはライトをつけたが、うしろについてくる緑のジープのライトは壊れているのか無燈で走りつづけている。まだ、西の空に赤みが残っていて、北側に山の崖が見える。 砂漠のゴビから草のあるゴビにかわった。南に方向をかえて川の跡に降りて、川筋をのぼる。川の跡は平らで障害物がないので走りやすく、自然のハイウェイである。それにしても、ソガラ氏のバイクは早い。それに、彼はこの寒さの中、手袋もしないでバイクを運転しつづけている。 川筋から西にのぼり、午後8時半ごろ私たちは、ソガラ氏の家族が私たちのために用意してくれたゲルに到着した。 白いきれいなゲルの中にはじゅうたんが敷きつめられいて、発電機を動かして、電灯もつけてくけた。私たちはその中に入ったとたんに、今日一日の疲れがどっと出た。ビールと簡単な食事をとって、早々に寝袋にもぐり込んだ。 |