私のやってきたことを考えると、私は地質学の中でも層序学、すなわち地層の上下や広がりからその地域がどのような歴史をへて現在にいたったかを調べて知ることに熱中してきたように思います。 その中で多くの地層が露出する崖(露頭)を見てきましたが、その多くは道路工事や造成地工事にともなって露出し、そしてすぐにコンクリートや植生によっておおわれ、またはまったく消滅させられました。このように地層露頭に関する「しうち」は、自然自体の存在やそれを研究や教育に利用する人たちを完全に無視し、そのための地層観察の機会さえもまったく考慮されていません。 日本の大地は数億年前から現在までのさまざまな地層からできていて、世界でも地層や化石についてよく調べられている国でもあります。とくに第三紀から第四紀に形成された地層については、世界や太平洋地域の標準とされる地層が日本には多く分布しています。 河川改修で3面コンクリートでふさぎ、川から生物を追い出したと同じようなことを、この国の人はいつまでつづけるのでしょうか。私たちのすむ大地の記録である地層を、それ自体とそこにすむ生物とともに、私たちは日常的に自然の姿として親しんだり、観察できる機会をもつ、余裕がこの国に求められているのではないでしょうか。 ここでは、私の見てきた地層の露頭をみなさんに紹介します。すでに消滅したり、以前にあった露頭も余裕があれば、紹介できればとも思っています。以前、露頭のデータベースを作ろうと思ったことがありましたが、そのきっかけになればと思います。 |
清水市村松付近の根古谷層と久能山層の露頭(登録:2002/11/05 調査:2002/11/05) 日本平運動公園のまわりの露頭です。いまではその数も少なくなりました。 清水市尾羽付近の浜石岳層群の露頭(登録:2002/11/11 調査:2002/10/23) 造成工事のために大きな露頭が出ています。地層の褶曲のよくわかる露頭がおすすめです。 相良町須々木の古谷泥層の露頭(登録:2002/11/11 調査:2002/10/15) バイパス道路工事で、相良層群の谷を埋める古谷泥層がみられる大きな露頭が出現しました。 |