アメリカ自然史博物館
American Museum of Natural History
http://www.amnh.org/


最終更新日:01/04/05

アメリカ自然史博物館 アメリカ自然史博物館は、ニューヨーク、マンハッタンのセントラルパーク西に建つ、世界的にも最大規模の自然史博物館である。

 創立は1869年、現在25の建物が一体となって、迷路のような中に46の展示室と多くの分野の研究室があり、収蔵標本および品目数はなんと3,200万点、科学研究スタッフは47人のキューレータを含む200人以上で、全職員数1,500人、それに加えてボランティアの数は1,000人以上、年間入場者は450万人。

 アメリカ自然史博物館の展示で有名なのは、「ダイオラマ」とよばれる大型のジオラマ展示である。それは動物のすむ大自然そのものを壮大な風景として立体的に制作されていて、この手法はアメリカ自然史博物館が作り出した展示手法で、今回訪れたいくつかの自然史博物館でもこれを真似て同様の展示がなされていた。この展示はとてもすばらしいものであったが、展示物としては解説が少なくまさに立体的な絵画で、ニューヨーク自然史博物館の過去の遺産といった感じを受けた。
ダイオラマ    生物の多様性

 新しい展示としては、1階には「惑星地球ホール」があり、地球や岩石などの展示があった。液晶プロジェクターや液晶モニターを使っての展示もあったが、多くは「How do we read the rock?」というような問いかけのタイトルに解説や標本といったシンプルなものだった。環境に関しては岩石・水・炭素などのサイクルで説明していたのが印象に残った。

 「生物多様性ホール」には、さまざまな生物が展示してある壁面と、その反対側には熱帯雨林のジオラマ展示があった。どちらも豪華で迫力はあるものの、何を語っているか今ひとつ分かりにくかった。ふと、ホールの中央で足元を見ると、床に埋めこまれた十字型のガラスケースがあり、そこには三葉虫などの化石が入っていた。そして、「5つの絶滅」というタイトルがあった。近くの柱の壁には、生物の多様性とその収集保存の意義が述べられたパネルがあった。大きなホールで、このとても小さくてわかりにくい展示に気づく人がどれだけいるだろうかと思い、それに気づいた私は、ひとり喜びを感じた。
ティラノサウルス    プロトケラトプス 

 4階は、脊椎動物の起源、竜盤目恐竜、鳥盤目恐竜、哺乳類の進化という4つのホールがあり、どれも白色を基調とした壁面と板ガラスで組まれた展示ケースで、とても綺麗に見えた。窓から中庭が眺められ、天井のライトも古めかしい1900年代初頭の建物と、ガラス張りの白い新しい展示は少しそぐわない感じもしたが、展示の迫力が強く、建物に目を向ける余裕がないほどだった。

コンピュータボックス 解説表示はガラス前面にシルクスクリーンで印刷されたものと、標本の手前に出る白い解説板でなされていた。各コーナーには、たとえば恐竜であれば腰骨の形、爬虫類であれば有羊膜卵などのように、その生物の骨格などで重要な要素がシンボルとして展示してあった。また、コーナーごとにコンピュータボックスあり、ホームページを見るように解説を見たり聞いたりすることができた。

 全体に系統的に整然と展示されていて、充実した標本を十分に活用して詳細な展示解説があり、まるで立体的な脊椎動物図鑑のような印象を受けた。展示解説の最初のものは、やはり問いかけをして、その解答を解説するという形式のものが多かった。
コリトサウルスのミイラ化石   オビラプトルのたまごと巣

 通路を利用して、モンゴルでの最近の恐竜発掘の研究成果を展示したものもあり、J. C. アンドリュース以降の恐竜化石調査のビデオも見ることができた。恐竜の展示室にはThe Fossil Timesというタブロイド版(季刊)の新聞がインフォメーションに置いてあり、最新の研究成果もそれを手にして読めた。

ルーズベルト記念ホール ルーズベルト記念ホールには、アロサウルスと向いあい子供を守るように仁王立ちしたバロサウルスが中央にあった。その四方の壁面には、国立公園の制定や博物館の研究教育に力を注いだルーズベルト大統領のメッセージが刻まれていた。

 館内のあちこちでは、ガイドツァーとよく遭遇した。また、ボランティアによるカートを押したハンズオンも行われていた。「海の生命ホーム」では、お客さんに声をかけて解説するボランティアもいた。

 迷路のような館内で迷っても、展示ホールや通路には警備員が必ずいて、彼らに道を聞くことができた。ミュージアムショップは3階をのぞいて各階にあり、Museum Food Center というカフェテリアと生徒のためのランチルームが地下にあった。また地下の出入口が81 Streetの地下鉄駅になっていて、そのホームの壁は化石レプリカのレリーフで飾られていた。

 ほとんどの展示ホールには、それを寄付した人や団体の名前が記されていて、また展示物、とくに「ダイオラマ」には解説板より大きな寄贈者名の刻印されたプレートがすべてにつけられていた。4階の化石ホール入口のプレートには、博物館の支援者としてエクソン石油会社とニューヨーク市の名前があった。




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登録日:01/03/31

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