毒蛇の来た道 大規模海水準変動説 |
星野通平 東海大学出版会 1992年11月 1800円+税 十年ほど前から、私は、陸橋についての普及書を書くと、教え子たちに約束してきた。書くぞ書くぞといいながら、専門書のとりまとめに時間をとられて、なかなか約束を果たすことができなかった。いま、これを脱稿してほっと一息ついている。 本書は、私の持論の海水準変化の考えにもとづいて、陸橋のうつり変りを述べたものである。この場合、ヘビは一例として取り上げたもので、陸橋を論じるには、陸棲の哺乳類や、淡水魚でもよかったかもしれない。しかし、ヘビは、私の幼い日の山野の思い出につながる動物であり、あちこちの島の追憶に強く結びついている生物である。 もちろん、私はへビについては門外漢なので、記述のなかに誤りがあるかもしれない、と心配している。もし誤りがあれば、ご叱正をいただければ幸甚である。また、終章は私のまったくの独断で、まさに蛇足を加えた結果になったのではないか、と惧れている。 これはこれとして、地球上の生物の分布に重要な役割を果している、陸橋のうつり変りは、私が本書で述べたようなことであったろう、と考えている。この問題は、生物学と地質学の研究者のあいだで、もっともっと討論を深めてもらいたいものである。陸橋の問題、海水準変化の問題は、生物学、地質学の根本問題と堅く結びついている、と思うからである。 本書の完成までには、多くの方がたのご協力をいただいた。日本蛇族学術研究所の鳥羽通久氏には、資料をご教示していただき、貴重な写真を提供していただいた。村松龍夫、大井恭忠氏からは、天売・焼尻の空からの素晴しい写真を送っていただいた。田中清隆、佐藤 武、満田美歩、佐藤久夫、小松崎通准、花四正明、早稲円浩治、松本泰史、檎井 尊、板東和郎、河野裕実の各氏および東海大学自然史博物館からは、写真や資料をいただいた。柴 正博氏には図表の製作に全面的に協力していただいたほかに、写真の提供や原稿の下読みをしてもらった。渡辺秀男、星野喜久三の両氏には、児童・生徒の輿映調査や、原稿の閲読をお願いした。これら多くの方がたに、心から感謝の意を表する次第である。 最後に、東海大学出版合の皆様、とくに直接担当していただいた中陣隆夫氏に厚くお礼申上げる。 1992年8月8日 台風10号の黒雲が北へ飛ぶ日 星野通乎 (本書の「あとがき」より) |
2001/09/03
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