南ゴビへ(7月29日)

ミドルゴビの巨礫

草原の少年  朝食の時に、朝散歩してきたという酒井さんが、 「丘の上に大きな円礫が転がっていた。」
 と言う。

 トゥメンバイヤーに聞くと、これはジュラ紀中期のシェリリン層にあたる礫層の礫で、ミドル・ゴビに広大に広がっているという。この礫層については1994年の旅で、巨礫岩の模式的な露頭を東ゴビで見ていたが、これが中央ゴビ全体に広がっているということを今回の旅で実感した。

 ジュラ紀のはじめにモンゴルでは北側のとても大規模隆起があったことが想像できる。気がつくと、草原のここかしこに礫岩層が頭を出していた。

 午前9時前に出発したものの、湖と草原、そしてラクダなどが織りなすミドルゴビのとてもいい景色を前にして、私たちのキャラバンはなかなか前進できなかった。スミヤさんは見ず知らずのラクダを手なずけ、私たちを楽しませてくれた。


デゲルハイハン

 デゲルハイハン山地の北麓にあるデゲルハイハン村の手前で、バンを確認して村に入る。待ち合わせ場所のガソリンスタンドでトーラさんとの再会をはたし、デゲルハイハンの山地に入っていった。

 山地は古生代前期、カンブリア紀からシルル紀の石灰岩や砂岩・泥岩、火山岩と古生代の花崗岩でできているという。山地は険しく、尖って固そうな岩石が露出していて、地層は褶曲しているものの、多くが北側に傾斜していた。

 山地の中にのびる道は狭く、先導するバイクは、この険しい道を何も躊躇することなく、どんどんと登っていく。峠の手前にゲルがあり、その奥の崖は白い石灰岩だった。さらに登り、峠にでた。そこはランチには場所が狭く、さらに南に向かって下っていった。

 川の跡に出て、岩の間の渓谷の砂の狭い道(河原)をすべり下る。山地の出口、扇状地に出て、車は止まった。私たちの目の前にはゴビが広がっている。

 お待ちかねのランチタイム。同乗していた秋山さんは、もう、
「お腹がすいた。」
 という、声さえ出なかった。


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