恐竜がなぜ絶滅したかについては、地球の歴史の中でも大きな謎で、これについてはたくさんの仮説が提案されていますが、わかっていません。
最近流行した説では、白亜紀末に地球外の小惑星が地球に衝突して、そのために恐竜がが絶滅したというものがありますが、他の生物が生き残っていることや、海の生物の絶滅や生き残りを説明できません。また、生物の絶滅は地球の歴史の一瞬(数日〜数年)のできごとではなく、数十万年もかかって起きたできごとなので、時間的にオーダがちがいすぎます。
恐竜の絶滅については、白亜紀末から新生代にかけての時代に、生きていた生物の中で、絶滅したものと生き残ったもののちがいがなぜ起こったのかを考えることと、地球環境の変化を考える必要があります。絶滅したものと生き残ったものでいえば、陸上の生物でいえば、恐竜や翼竜などは絶滅し、哺乳類や鳥類は生き残りました。
それらの大きなちがいは、絶滅したもののほとんどは大型の爬虫類で冷血(変温)動物であり、生き残ったものは温血(恒温)動物であり、心臓や血管系などの循環器系がすぐれた、羽毛や毛をもち、赤ちゃんの世話をする動物です。
また、白亜紀後期からの地球環境の変化については、大規模な海水準の変動があり、太平洋をとりまくマグマ活動などによって炭酸ガスが大量に放出され、光合成にすぐれた被子植物の発展と石灰質プランクトンにより、反対に大気中の膨大な量の炭酸ガスが使われ、固定されました。
白亜紀の前のジュラ紀には世界中がどこでも温暖だったことが知られていて、これは大気中に含まれる炭酸ガス(二酸化炭素)の量が多く、地球温暖化のためだったと思われます。しかし、白亜紀後期になると炭酸ガス濃度は低下します。
南極に大陸氷河がはりだしたのは新生代に入って数千年も後のことなので、気温は恐竜がすめないほど寒くはなかったと思われますが、呼吸で大量の酸素を必要とする哺乳類や鳥類にはより適した大気環境になったと思われます。
恐竜の絶滅は数十万年もかかかって起こったできごとで、白亜紀末にはアンモナイトや古生代から生きのびてきた古い形質をもった生物も絶滅しています。これらの絶滅は、おそらく、それぞれの生物グループがもっている形質のちがいに地球環境の大きな変化が大きく影響をおよぼして、生態系の大きな変化が起きて、それぞれの生態系での位置(ニッチ)を保てないものが絶滅していったと思われます。
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