呉服町のスクランブル交差点にあるドコモシュップ（元アメリカ屋靴店）の柱に使われている赤味がかった灰色の石材には、保存のよいルディスト（厚歯二枚貝）の化石が入っています。ビルの石材で見られるルディストの化石は、貝殻の破片の集合体となっている場合が多いのですが、たまにきちんとした断面の形を残しているものがあります。

　この柱の大理石には、アルファベットのＯやＵのようなルディストの断面の形が見え、さらにその殻の中に小室も確認できます。

　中生代に栄えた厚歯二枚貝の仲間には「ルディスト」という二枚貝とは思えない形をした仲間がいました。この化石は日本で保存のよい標本がほとんど発見されていない珍しいものですが、街中の石材の中にはたくさん発見することができます。

　ルディストは二枚貝といっても、ふたつきの下がつぼまったビールジョッキような形をしていて、厚い殻をして岩やお互いに固着して群がって、それ自体で造礁サンゴのように浅い海に礁をつくっていました。後期白亜紀には世界的に栄えました。また、その中には貝殻を軽く強くするために、殻内部にいくつもの小室をもったフレームになっているものもありました。

ルディスト化石とドコモシュップにみられるルディスト化石の断面

　　

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