恐竜は反応が遅く、
 尾を踏まれても気づくのに時間がかかった?


最終更新日:2002/01/05


 恐竜は体が巨大なわりに脳が小さく見えますが、現在生きている爬虫類と比較しても決して異常に小さいわけではなく、むしろ哺乳類の脳が他の動物に対して異常に大きいと考えた方がよいと思います。

 恐竜の脳の特徴は、現在生きている爬虫類の特徴と同じく、大脳の膨らみが弱く細長く、臭いの感覚をつかさどる臭球(しゅうきゅう)が発達しています。したがって、大脳がつかさどる「考える」という面はともかく、本能的な「反射」という面では問題がなかったと思います。

 「恐竜は反応が遅く、たたかれても気づくのに時間がかかった」という話は、おそらく「ステゴサウルスの第二の脳」の話の枕に利用されたようなものではないでしょうか。ステゴサウルスの脳は小さく、尾を踏まれても反射が遅れるために、おしりのところに神経束があって、これが体の後ろの反射をつかさどっている、という話だったかと思います。

 ステゴサウルスの脳は推定体重2トンに対して28グラムしかありませんが、ディプロドクスでは推定体重10トンに対して50グラム、トリケラトプスは推定体重9トンに対して70グラムですから、極端に小さいとは言えません。

 また、スデゴサウルスには、肩や仙骨(せんこつ:腰の骨の一部)に神経腔(しんけいこう)という神経束(しんけいそく)の入る少し広い空間があり、これが反射作用の中枢となっていたのではないかと考えが以前にあり、仙骨神経中枢が「第二の脳」と呼ばれ話の種になりました。

 神経腔の広い空間は、肩や仙骨の神経束が集中していたことと、多くの動物で見られるようにこの付近に脂肪がたくわえられていたためのスペースでした。そのため、神経腔の部分は反射が脳にとどくあいだの「第二の脳」であったという話は考えられません。

 現在考えられている恐竜のイメージは、以前の鈍遅な動きしかできない姿ではなく、基本的にはニ本の足で歩行することができて(4足歩行に戻ったものもある)、素早く活発な活動ができた俊敏な動物というものです。


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